金曜日, 3月 13, 2020

市民農園の変化

梨とかぼちゃを育てるため、この区画を引き継いだ10月末。
4年間ほとんど手が入ってなくて、荒れ放題。
木も不恰好に張り出しているか、半分枯れた状態。
敷地中、土の上も中も、小屋の中も外も、捨てなければならないもので溢れてる。
毎日農園に行っては作業し、車に詰められるだけ詰めて、リサイクルセンターに運ぶ日々。
すっかり常連客になり、リサイクルセンターの人からかわいがられるようになった。笑


まずやったのがプラン作り。
園芸のことなら何でも知っている日本語生徒さんのベアントさんに来てもらって、残す植物、梨の木を植える場所、道具の使い方などを教えてもらう。
整地作業も手伝ってもらった。
ベアントさんは70近いはずだけど、力が強くて何でも早い。
機械に頼らず、昔からの道具を好み、黙々と作業をこなす。
最初に来てもらって、とっかかりができた。本当にありがたい。

続けて毎日作業する。
子どもたちや向かいのビンダーさんに手伝ってもらうことも数回あったけれど、基本は1人。
最初のうちは、つまらないだろうからといろいろ準備したけど、
実際、畑では何もいらない。
音楽も聞きたくないし、何も食べたくない。
冬中共用トイレも使えないから、何も飲めない。飲みたくもないけど。
ただ黙々と作業しているだけで楽しい。

1ヶ月後。
畑は2/3整地して、ゴミは1/3片付けた。
引き続き意味不明の垣根や石を片付けていく。
周りの人が微妙な表情で私を見る。
たぶん、私が何もかも抜いてしまって、敷地をすっからからんにするつもりだと心配している。
髪を切る時と同じで、見慣れるのに時間がかかるのだ。

一方で人が私に聞くことは決まっている。
全員が全員「だんなさんはどこにいるのか。なぜ一人でやるのか」と尋ねてくる。
ドイツでガーデニングとは夫婦でやるべきものなのだと知る。
ほっといてけろ。


12月、畑の中で最後に残った真ん中の大きい区画(写真右)をやっつけた。
ここ数年の厳しい夏を生き残っただけあって、手強い植物たちだった。
粘土状の土にはブロックや大小の石、古い木の根っこが埋まっていて、
上には剪定クズと石のつまったプラスチックの池。
ブロックを並べ直したら、ぬかるんだ日も歩きやすくなった。


この区画は4年間も真面目に手入れをしない人が続いたので、
周りの区画の人たちから今度のアジア人もどうせ最初だけだろうと
思われている雰囲気がいつもあった。
そのうち1、2人声をかけてくれるようになった。

斜め向かいのミュラーさんはいつもアイロンのかかったシャツに
きれいなセーターを来てくる。
ダンディーを絵に描いたような感じ。
畑仕事がなくても、小屋でいつもの格好に着替えて、懐いているシジュウカラに手からピーナッツをあげる。
通路の雑草の上手な取り方や道具、堀ネズミが果樹の根っこをかじるから根鉢ごとネットで包んで植えることを教えてくれた。

反対側の斜め向かいのハンスさんもいろいろ話しかけてくる。
声がかすれていて、何を言っているのか半分もわからないけど、
どうしてニンニクを花畑に植えたのかと言ってるらしい。
実は通路に面した80cmは花畑にすること、敷地の最低1/3では食べ物を育てること、垣根の高さはここまでなど、市民農園全国共通の細かなルールがある。
掘り出した球根、てっきり花かと思って、通路沿いに植えてた。
でも、今シーズンはそのまま置いておく。笑

霜が降りる前に急いで幸水、豊水の木を植える。
ベアントさんお勧めの古い洋梨品種「ノーベンバー」も。
これは幸水。
何でもインターネットで見つかるからすごい。


片付けは続く。
いろいろな所から出てきた石と、どうにも救えなかった木。
鬱蒼と茂るからどうせ好きじゃなかったけど。
動線上に生えてるから抜いてしまうことにした。
最初の道具、チェーンソーと枝バサミをゲット。便利。
ディディは機械が好き。
ジョルディは道具が好き。


ここまでに4日はかかった。
またこれが重くて持ち上げられない。


屋根の上のツタをはがす。
枯れた葉が積もってできた土は20cmの厚さ、根っこは大根の太さまで育っていた。


屋根の土を畑に撒いて、たくさんの枝をシュレッダーにかけて。
全体的にうっそうと暗かったのがやっと明るく広くなった。


1月。
この市民農園代表でお向かいのビンダーさんが
さくらんぼの老木の剪定をしてくれた。
さくらんぼと言ってもドイツには甘い生食用と、酸っぱい加工用がある。
この庭のは酸っぱい方。笑



ビンダーさんは手際がよくて、ほれぼれする。
11月に木を3本抜いてもらったが、機械や道具をよく使い分ける。まず作業しやすいようにチェーンソーを使って枝を整理し、スコップとクワで根を掘る。チェーンソーと枝バサミを使って根を切り、掘り出す。
最後には切り倒した木で暖炉に使う薪まで作ってしまった。
時間、力を使わず、楽に片付けできるようによく考えて作業するのがわかる。
とても参考になる。

ふじりんごの木も植えた。
迷っていたけれど、やっぱりりんごもなくっちゃ。
この後、スモモ3種1株の木も植えた。


この頃からお隣りの老婦人、クルツィンガーさんの表情が
柔らかくなってきた。
どうやら認められたらしい。
「早く2月になるといいわね。
どっちの畑のほうれん草がおいしいか、競争よ」
と言われた時は、めちゃくちゃうれしかった。
ほうれん草なんて作るつもりがなかったけど、その日タネを買った。

クルツィンガーさんは49年前から毎日農園に通っている几帳面な未亡人。
「精が出るわね」が最高の褒め言葉。

2月。
築49年プラス暦年拡張されてきた小屋の手直し(テラス屋根、とい、道具置き場拡張)を職人さんにお願いする。
この補修だけでそれなりの品質の新しい小屋の値段。
ドイツは古いものを大事にし、日曜大工でなんでも作るのがいい、という風潮があるし、建て直しは大変だと聞いて、補修を決めたけれど、やっぱり建て直せばよかった。
いたんだ外壁、継ぎ接ぎだらけの内壁、ネズミにかじられ、素材が落ちてきた天井、まだまだ他にも直すところがあるのに...。
予算オーバーで残りは自分で手直しすることに。

ビフォー。
ここまで自分で取り壊した。


職人さんがいらない部分をとったところ。


屋根は途中。
私はジグザグだった通路を広くまっすぐにすることにした。
木の生えていたところを掘り、石と砂を敷いて平らに。
元々あったブロックと、処分するという人からもらってきたブロックを並べていくが、実は同じに見えて厚さや形が4種類あることに途中で気がつき、やり直しが続く。
残している部分に合わせて高さを調節しながら、重い石を並べるので根気がいる作業。
初めてだし、出来上がりはほどほどでいい。


ディディとパピが道具置き場を使いやすくしてくれた。


3月。
やり場に困った石で作ったロックガーデンにいろいろ植えた(ロックガーデンは反対側のお隣り、レギーナのアイデア。レギーナはあまり来ないけれど、最初から垣根を感じさせない人)。
そろそろ片付け作業にも飽きて、色が恋しくなってきたから、楽しみが増えた。


じゃまな場所にあった枝垂れもみじを移植。
ドイツの家を見てもわかるが、しっかりした作りである一方、簡単に動かせないものは動線や10年後、20年後を考えてという感覚が違うと感じる。
この農園ではとにかく変な場所にいろいろ設置してあったり、植えてあったりする。

処分する木と違って、生かす木はやりづらい。
おまけに腰の高さに枝が張り出しているし、根も広がるタイプ。
きっと20歳くらいの木だったんだろうな。
1/3くらいのボリュームになってしまった。
綺麗な木だから、根付いてほしい。






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